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指針

何となく自分がどんな作品を作りたいのかようやく分かってきた。

出来た作品を見ると『この表現くらいすぐ思いつきそう』と思ったけど、クイズの答えを元から知っているからそれが簡単に思えるようなものだ。

パンはパンでも食べられないパンは?と訊かれて即答できるのは、私たちがフライパンという物体のことを知っているから。

 

今まで私は可愛くて美しくてグロテスクで気持ち悪くて生々しいものを作りたいと思っていた。でもそれが何なのか具体的なアイデアは無かった。

何度か考えつかないまま絵を描いたり、昔の絵を自分で3d化し思考をなぞることで、何がやりたいのか分かってきた。

前もここに何度か書いたけど、私は考えばかり沢山働いてしまう性格なので感情や思いをそのまま作品にすることが難しかった。

思考と作品が常に乖離していたため、いつもフラストレーションを感じていた。

 

踊りや歌は身体をそのまま媒体として使い表現できる。それがずっと羨ましかった。3dはパソコンを使うので理性の方が沢山働くものだと言い訳していたと思う。

今考えてみると、踊りや歌もしくみを分かっているからこそそれを通して表現できるものだ。一応経験のあるモダンバレエは踊っていて楽しかったけど、歌が下手な私は歌で表現することを考えられない。歌の表現か3dの表現、どちらの方が私の身体に近いかといえば3dだと思う。歌は声を使うので直接的と思いきや、私の歌の知識や経験は3dよりも乏しいから。

 

良い意味で最近"諦め"という選択肢を持つようになった。挫折ではなく、全てをコントロールすることが出来ないことをようやく身体で理解し始めた。全て完璧にやろうとすることは無理だと分かるのにかなりの年月がかかってしまった。

でもその余白のおかげで最近好きなように絵が描けるんだと思う。完璧な絵を描かなくていいから、途中で放棄せず完成できる。

 

 

大ファンの某グループがあり、半年前くらいに知ってからほぼ毎日曲を聴いたり映像を観ている。どれくらいのハマりようかというと、今まで生きてきた人生には無縁だった"推し"という存在が出来るほど。気になる人は「歌謡舞踊集団」で調べてみてほしい。

彼らの生命力に負けないように、私も自分のことをやっていけたらと思う。